改革・緑新の吉川彰一でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
私のお尋ねはすべて知事に対してのものでございます。これは、長野県をよくしたい、変えていくんだという知事の情熱の一端をお聞きしたい、そう思うからであります。重ねてどうぞよろしくお願い申し上げます。
先月30日の日銀松本支店が発表した県内企業短観によりますと、景気判断を、厳しさを残しつつも回復に向けた動きが見られるとしていますが、先般の県側御答弁では下振れ懸念をお聞きいたしました。
本日も1ドル83円台と、今回の急激な円高は、特にマーケットが海外となる製造業など既に県内企業の一部には影響が出始め、今後、下請の企業や関連業種、雇用されている従業員の賃金や新規採用、ひいては県税収などに波及することが懸念されております。
県当局におかれましては、この急激な円高の機動的な対応をしていただく御配慮に対しまして御礼申し上げます。
今回の円高では、中国の人民元の対ドルレートの切り上げが求められており、人民元が実力以上に安く固定されているため中国の対世界貿易での不均衡はおよそ30兆円と言われています。言いかえれば、30兆円分の失業が世界に輸出されているとも言えます。
こうした中、我が国は、雇用を守ると国から町村まで公費を使って対策に追われております。尖閣諸島の問題は事実関係の精査と法理論の解釈に余地を残しますが、世界経済の中で見た日中関係は、数字でだれに対しても同じ答えを導きます。さらに、我が国はGDPで世界第2位の座を中国に明け渡すことをことしは確実視されています。こうした中国のうたげの後片づけを押しつけられているような日本であります。
また、円高によって、日本国内における従業員の家族まで含めると1,300万人を養っていると言われている自動車産業も空洞化の危機を迎えています。
こうした世界経済の情勢を踏まえ、日本経済の現状を知事はどう認識しておられるか。お伺いしたいと思います。
次に、知事におかれましては、選挙公約で信州経済戦略会議の設置を訴えられております。設置は大いに期待するところではありますが、昨年生まれた県内1万7,310人の赤ちゃんが成人するころには、先ほど述べました世界経済、そして日本経済の激変に伴う県内産業構造、ライフスタイルの変化が生ずると思われます。さらには、少子・高齢化、2027年にはリニア中央新幹線が大鹿村を抜けると言われています。
今般の円高景気対策補正予算案については、切れ目ない景気対応との説明をお聞きしました。県内経済の巡航速度、つまり成長サイクルの維持を図ることはメッセージとして伝わってきます。しかしながら、日銀が行っている、成長分野に絞って基盤強化をする融資のような経済政策のポリシーが見えてきません。
知事として、改めて、経済政策のポリシー、長野県の豊かな未来像についてどのようにイメージされておられますか。お示しください。
また、信州経済戦略会議のメンバーについて、御答弁の中で農業関係者をメンバーにという意向を持っておられることを知りました。
私の近所では、中小企業大学校の研修場所にも指定されておられる精密機械製造企業があります。ここでは、数年前、医療機器や電動車いすの部品にも参入され、すぐれた技術で賞も受けられました。福祉や医療という余り好況、不況の影響を受けない事業で、リーマンショックの直撃を免れました。福祉と産業といった一見相関のない分野が融合することからイノベーションは始まります。
こうしたイノベーションをキーワードにした戦略を構築できる斬新なメンバーでの人選をお願いしたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
さらに、政府の経済財政諮問会議では、民間議員が主導することでバブル期における金融機関の不良債権を一掃することなど、経済問題の解決に向けての突破口となったという面もあります。しかしながら、国会議員の意見や立場との重要性が問題になったとも言われております。
信州経済戦略会議と県議会との関係において、地域間や事業者間の利害判断によって信州経済戦略会議と県議会で正反対の結論が出たり、また、財政出動を伴う政策投資の可否についても同様の結果となった場合、知事としてそれぞれの意見をどのように尊重していくおつもりなのでしょうか。
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