3月3日、ひな祭りでございますので、いつものようにおとなしく静かな質問をしてまいります。
公共投資がピーク時の半分以下に落ち込む中、長野県の建設業界は体力的、また気力的にも限界に近づきつつあります。
こうした中、近年、地球温暖化に起因すると言われております予期せぬゲリラ豪雨が全国各地で多発しております。平成21年8月8日には、台風第9号がもたらした集中豪雨により、諏訪市後山観測所において時間118ミリという観測史上最大の雨量を観測し、24時間雨量153ミリという記録的な豪雨となりました。諏訪市南部に位置する権現沢川、唐沢川などから流出した土砂は延べ1万2,000立米余りに達し、県道岡谷茅野線を埋め尽くし、多大な被害をもたらしました。こうした中、地元建設業者は夜を徹して県道の土砂片づけ作業に奔走し、約2週間後には見事県道を復旧させたのであります。
また、1月中旬には北部において大雪に見舞われ、国道117号線の通行どめの話も先ほど宮本議員からございましたけれども、業者に大変御苦労いただいておるわけでございまして、そのような業者の立場からも一言申し上げておきたい、このようにも思っております。冬期には天気予報とにらめっこ、また、除雪要請の有無にかかわらず深夜を問わず出動しなければならず、業者にとっては肉体的にも精神的にも大変大きな負担となっているところであります。
とかく、我々は、日常生活の中で、部長も大変な経験をされたそうでございますけれども、冬期間普通に通れる道路の恩恵をごく当たり前のごとく感じ取って暮らしているわけで、その裏には、日夜命の危険を顧みず県民や地域のために一生懸命働き、特に災害時など緊急時に現場へ真っ先に駆けつけ対応する建設業者の存在があることを決して忘れてはならないのであります。
そこで、まず、長野県のこのような災害時などにおける緊急時の対応について建設部長にお尋ねいたします。
長野県においては、平成9年8月22日、当時の吉村知事と長野県建設業協会長により災害時における応急対策業務に関する基本協定が締結されており、緊急時の出動に関しては、土木施設小規模補修工事の扱いと災害協定による応急対応業務の2種類があると理解しております。県として、これをどのような形で運用し区別しているのか。お伺いいたします。
なぜこのような質問をするかと申しますと、県民や我々は、緊急時に長野県の依頼により業者が出動した際、不幸にして事故に遭われた方々が公務災害扱いで公による保護がされると認識しておりましたが、公務災害扱いではなく、労働災害であると聞き及びました。そのようになると、すべての補償や責任を一民間企業が負うこととなるからでありまして、災害時における応急対策業務に関する基本協定によると、損害補償の規定に基づき、知事から従事命令が出された場合には県が損害補償することとなり、公務災害に準じた扱いとなると理解しております。
小規模補修工事においても、出動する業者側としては、不慮の事故が起きた場合には、何といってもかけがえのない大切な社員を失うはかり知れない損害を受けたり、企業イメージの低下など、多くのリスクを抱えることになります。こういったリスクに対応するために、工事を依頼された業者に対し県としてどのような支援ができるのか、具体的な方策があるのかもお伺いいたします。
次に、入札制度についてお尋ねします。
先ほども話しました諏訪や岡谷の災害対策や県北部の豪雪における除雪業務に携わる業者を初め、建設業の皆さんは昼夜を問わず現場に駆けつけ、危険を伴う現場でその地域の住民の皆さんの安心、安全の確保のため一生懸命頑張っているわけであります。
ところが、現在の入札制度は、こうした地域で頑張っている業者が報われるような制度となっているとは言いがたい部分があります。地域に貢献している優良な業者が地域で活躍できるような入札制度となるように、単純に一般競争入札により業者間の競争を激化させるだけではなく、地域に貢献する優良な業者にインセンティブを与えて事業発注することができないか。所見をお伺いいたします。
次に、除雪業務についてお尋ねします。
先日も業界との懇談会を行いました。除雪業務が今のままだとあと3年で73%の業者はできなくなるという回答でございました。自社保有の699台の除雪車両のうち更新できる数もわずかとなり、機材確保も困難となる、社員の教育訓練もできず、オペレーターも不足し、66%の会社においては出動費用が足りず赤字を出してのボランティアであり、地域を守るために出動するとのことです。
昼夜を問わず緊急出動のために待機し、寒い夜中の危険を冒しての除雪作業など、県民の安全を確保している除雪業者が、人的・物的体制や採算性を確保し、将来も継続して除雪業務を受注することができるよう、安心、安全な交通網確保のためにも早急に対策が必要です。
県は、これまでにどのような取り組みをし、今後どのような方策を考えているのか。建設部長に再度伺います。
最後に、公共工事悪者論イコール建設業者、業界とのとらわれ方があるが、長野県として建設業界の位置づけについて腰原副知事の所見をお伺いいたします。
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